2006-06-09

チープ革命最前線


太陽系宇宙の中心ガイア、その太陽内部では水素と水素が核融合反応してヘリウム「He」を製造する。工場があるわけではない。大宇宙のダイナミズムによって宇宙法則に従い運行し、ごく自然にそして圧倒的パワーを放つ。何故そうなっているか、何処からそんな力が湧いて出るのか誰も知らない。
IT世界がいま急激に上昇している様子は、その核融合メカニズムに等しい。高性能パソコンが全世界に拡散し、そこから新たなる新物質が誕生して、更に加速度的に、そして膨大に膨れ上がる。これはまさにヘリウムそのものだ。
インターネットのバーチャル世界がリアル社会を動かしてしまう、その実体験を肌で感じ驚愕する。そんなことを可能にしたのがラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン、そして天才ジム・リースたちが率いるGoogleと改めて認識した。
私の、このブログサイトトップに「このサイトに広告を掲載」という案内が表示してある。その内容とは私が書いた記事に合わせた内容の企業(小中規模)の広告が載せられる。
ある日、ギリシア神話を題材にしてミノタウロス誕生の過程を記述し中に「獣姦」という件があった。グーグル検索ロボットは、それを目敏く察知して浮気不倫調査の探偵事務所の広告を貼った。「世の中には様々な仕事があるものだ」といたく感心し又、こうしたケースで当該企業が世に知られること、そのことが非常に有意義なことと改めて感心したのである。
そしてもう一つの実例。同じ広告欄にWACOMというPC周辺機器を扱う会社の広告が載せられた。パソコン内でイラストを描くのに使用するペンタブレット商品の案内だ。私のページではデジカメ写真を多く用いているが、その他自作イラストも掲載している。パソコンマウスでイラストを描くには限界があり、そのタブレットが欲しいと思っていた矢先のことだった。しかし自分のページの広告をクリックするのは契約で禁じられているため、ID検索して当社のHpを閲覧したところ自分のイメージしていた機材で、ペンで描くイラストの紹介がされている。その場で注文し2日待ってWACOMのintuosペンタブレットが届いた。全てがインターネット上で交わした商取引である。それも私個人のプログに載せられていた広告によってである。更に驚くべきことは「ペンタブレット」の驚異的性能である。パソコンのUSB接続で使用するペンタブレットは、まさにデジタル技術の申し子のような存在だった。それらの全部がインターネットを介して「外の世界で生産」されたイラストをデジタルで描く超精密な道具を手に入れた。リアル社会の産物をバーチャルなデジタル世界から手に入れたのだった。瓢箪からコマとは、そのことか。この様を私は水素の核融合に喩えたのだ。梅田氏が「web進化論」で指摘する「チープ革命」を実証するかのような出来事だった。そうした恩恵をこうむって玉石混交の中の「石」の存在である我々は個人の表現能力を数十倍もアップさせた。それは音楽シーンでもまったく同じことが云えて、電子ピアノで数百種類の音ソースを抽出し伴奏曲を作る。そこにボーカロイドソフトのデジタルボーカルを載せて歌を唄わせる。それをたった一人で構成できる。かつて物置一部屋分のコンピュータで作っていたプロ仕様のデジタル音源が10万円足らずのパソコンで同等の能力を発揮する。そのオリジナル曲を音楽サイトに投稿し審査の末、ネット上に公開され全国ネット場合によっては世界に配信される。
まったくの個人が、その趣味に即したジャンルでPC内機能を駆使し思いのままに感性表現できる。その領域においてプロとアマの差は拮抗しつつある。ただし、人の手によってプログラムされたCDソフトはいくらでも量産可能で、それを使うことによって総てが均一化するというジレンマが付きまとう。
チープ革命に包括される「ムーアの法則」、1965年ゴードン・ムーアが提唱した。パソコンに組み込まれているマイクロプロセッサー・インテルの創業者がゴードン・ムーアである。 下落するハードウェア価格と周辺ソフトとITに関係する諸々を含め低価格化が進むと予測した「ムーアの法則」。それが未だに有効であると「web進化論」で梅田氏は説く。
世界のIT産業が一定の飽和期を迎えた今日、彗星のごとく現れたベンチャー企業「Google」が将来の革命児になり得るか、という問いは私の実体験から判断しても既にその兆候が散見する。皮肉なことに、このパソコンを動かしているOSはマイクロソフトによってである。   
photo: SWEEPERCAR ENGINE
                             WACOM http://tablet.wacom.co.jp             

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