14世紀から16世紀に起こったイタリアルネサンス、そして近代の幕開け産業革命から今日のインターネット時代情報革命まで数百年経ったが、その間、総てを記録するというアナログ行為は現在でも引き継がれている。パソコンのキーボードが文字を打ち込んだとしても、手書き文字が消失したわけではない。むしろ、パソコンを使ってワザワザ手書き風文字を作り、それが異彩を放つ、というほど今は活字体に覆い尽くされている。古代メソポタミアの楔文字は食料生産リスト、またそれら取引を記録した文字であり、今の簿記の役目を果たしていた。だから人間は約3000年の間に渡って記録し続けていたことになる。パピルスの発明は記録改ざん防止のために考えられた、という説もあり古来より記録証拠を都合によって改ざんしたようだ。最近日本でも先端IT企業が帳簿改ざんで罪を負った。よく数字のマジックと表現するが実態と数字は別物で、厳密に現金勘定してみれば合わないはずのバランスシートは、何故か一円の狂いも無くピタリと合っている。決算報告書を読んで作った方も、見せられたほうも、それで納得してしまうから数字とは恐ろしい。たとえそれが1億円だろうが10億円だろうが金額が多くなるほど実態と合わないことは誰でも知っているが、パソコンで綺麗に清書された決算報告にケチをつけるものはいない。たとえそれが株主総会であっても動議発言するのは数字合わせではなく、幹部グレーゾーンの道義的問題を追及するのが一般的だ。
スーパーコンピュータの計算速度が驚異的スピードでアップしている時代に、肝心の統計数字が当てにならない、という現実問題がアメリカで浮上している。そう指摘しているのが社会学未来学者のアルビン・トフラーだった。「知識は瞬時に世界中に配信できる」とはインターネットのことを云っているようだが、そのビジュアルに捉えることの出来ない生産物を測定また換算することがきわめて難しいと指摘する。直接表現すればマイクロソフトのWindowsでありGoogleの検索エンジンである。それに関する定義や、合意もなされていないと氏は苦慮する。帳簿を記録するという古典的手法はメソポタミア時代より行われているが、知識知恵を帳簿上に数字として書き込むことが出来ないという未知の時代がやってきたと、トフラー氏は杞憂してゆっくり安眠できないでいる。
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