2006-08-15

村上隆 芸術起業論を読んで

念願の「芸術起業論」が8月14日、手に入った。本の裏を覘いて人気の度合いを知る。
2006年6月25日第一刷、8月10日第5刷発行と明記してあるから、出来上がったばかりの第五刷が届いたことになる。ロット部数にもよるが、この数字から推測すれば売れに売れている。最近の新初刊では異例の売れ筋と思った。本の内容がそれを物語っている。
おせっかいに解説すれば、この本はアートを目指す若い人たちへのメッセージマニュアル書である。そして通常日本で出来上がった既成概念打破の理論書でもある。
「web進化論」の中で梅田氏が力説していたエスタブリッシュメントたちへの痛烈批判、それと同次元のアンチテーゼである。日本の社会を支配している目に見えぬ思想、その根拠がどこから発生しているのか、という設問自体にも応えられない彼らに対する反逆であり追求、そして革命的なアクションである。生半可な青臭い絵空事を云うのではなく実践して成果を挙げリアル社会で稼動している姿を何人も阻止することができない。当然のようにエスタブリッシュメント層には、そのことが何を意味しているのか、それすら理解できないだろう。かの村上隆は、そういう人たちの理不尽な要求をすべてクリアーして今のスタンスを築いた。本は、そのことを淡々と語っている。
ただし、この本が若きアーティストにとってマニュアルではあるが、それをなぞっているのであれば真のアーティストになれない、ということも村上隆は教えている。
二人目のアンディーウォーフォールを誰も評価しない、ということを暗黙のうちに語っているのが印象的であった。

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