2006-05-21

ダ・ヴィンチ・コード と毀誉褒貶


映画「ダ・ヴィンチ・コード」が全世界で注目の的になっているようです。上映される前からストーリー内容が宗教的問題として話題となり宣伝効果に拍車をかけているようです。したたかな商業主義と穿った見方はいけないのでしょうか?
映画「ダ・ヴィンチ・コード」の原作は小説のようですが、作家ダン・ブラウンは40歳新進気鋭の作家だそうですが以前は教師をしていたらしい。そうした情報はインターネット上に満載で、とくに映像ダイジェストが効果的のようです。映画産業に手を染めた日本の電気メーカーS社が、ネットと同時進行でこの映画をプロデュースして、映画産業の新しい方向性を探っているようにも見えます。これと同じ手法でジェラシックパークがありましたが、そのような戦略はハリウッド的のようです。
かなり前の話ですが、グラハム・ハンコックの「神々の指紋」が世界的ベストセラーになったことを覚えている方も多いでしょう。いま出版界でハンコックの名前を聞いたことがありません。とかく大衆とは飽きっぽいし、売り手側は商売にならないとサッと引き揚げます。そして次の話題作が世を席捲する。この繰り返しです。なにしろ今は時間のサイクルが早い。時の刻みは宇宙創生ビッグバンより普遍ですが、概念で生きている人間世界は、時が延びたり縮んだりします。大きな塊がある同じ方向に向かって動いている。グローバルという名の下に世界の目がある基準値?を発信元として、世界全体が同時進行している様子がパソコンのインターネットを通して垣間見えます。
「ダ・ヴィンチ・コード」がよい例で、全世界の人間が同じ映画をほぼ同じ時間帯に観るのです。その内容は、絵画に隠された暗号がキーポイントになっていますが、それが宗教界でも問題となっているようです。隠された暗号とは、今更新しいものではなく歴史的にもコード化された暗号をつくった作者はいくらでもいます。前出、ニュートンの「秘密の箱」の中に秘められた錬金術原稿など挙げられます。17世紀頃、近代科学の夜明け時代、先取権を確保するのに科学上の暗号が考案されました。今の著作権保護のハシリでしょうか。
近代天体観測の第一人者ガリレオが考案した暗号をケプラーが解読したという映画より面白い実話が歴史上に残っております。
ガリレオの作った暗号、14種類37文字で作られ、これを並べ替え組み合わせで構成した。その時代、ともに天体運行に興味を持っていたケプラーはガリレオが作った暗号解読に取り掛かった。その結果、「ガリレオが火星に2個の衛星を発見した」、と誤訳したのです。これがどうして誤訳かという、話が面白い(じっさい火星には衛星が2個)。その当時の観測では火星に衛星は存在しないと思われていたからです。またガリレオは土星に衛星3個と観測していたが、それは星ではなく環であったのですが、本人手作り望遠鏡ではそれが確認できなかった。
コペルニクス以来の地動説、「天体の回転について」から今日まで飛躍的な天体観測結果が得られていますが、過去の歴史から学ぶべきものは多いのです。
映画「ダ・ヴィンチ・コード」にまつわる諸説が世界中に渦巻いていますが、17世紀当時のガリレオとケプラーの応酬も毀誉褒貶(きよほうへん)があったことでしょう。褒めたりすかしたり、おとしいれたり壊したりと、だいたい批判的な態度になることが多いようです。それでも大真面目で過激な批判行動が余計に注目され、それが商業的に宣伝効果をもたらす、という昨今の社会事情は普通なのか、それとも異質な事態なのか判定が難しい。
今朝のことですが、海に出かけて日の出を観てきました。天体の運行とは関係なしに。千葉の外房に住んでいますから太平洋の海がパノラマで広がっています。水平線上にはなにも無く、そこに太陽が昇る景色は何度観ても飽きることがない。早速デジカメに納めてパソコンに入れました。上記の写真がソレです。そんなことが出来るなんてガリレオもニュートンもケプラーも、そしてダヴィンチも知らない。だが、彼らの傑出した才能がなかったなら今のデジカメ・パソコンは存在しない。
2006年というリアルタイム、パソコンの窓を覗いていると世界中の出来事が瞬時にして見ることが出来ます。今の世の中、殆どと云っていいくらい社会を観察するのにパソコンで用が足ります。それに没頭していると脳内の神経回路が活性し、それらが概念上の出来事バーチャル世界に移行しているような錯覚をおぼえ、太平洋に昇る太陽でさえWINDOW世界のフレームに納められていると、脳思考が勝手に判断しはじめているような気がいたします。これはすでに「サイエンス・フェクション」です。
これ、杞憂でしようか。??

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