画像、長谷川等伯(1539-1610)作の「松林図屏風」は桃山時代に描かれた日 本でも屈指の六曲一双屏風の名作として知られ国宝でもある。現在、東京国立博物館に所蔵されているが常設ではない。数年前、私は東京国立博物館で実物を観察したが作品保護のため照明が暗く、ことのほか小さく見えたが、さすが等伯の息吹を感じ取った。
靄(もや)に沈む込む針葉の松を見事に描き出した作風は、他に比肩するものがない。日本人の心を捉えたその絵は今でも高い人気を誇る。
いま映画「ダ・ヴィンチ・コード」が全世界で公開されているが、その注目はモナリザ、晩餐などに秘められた暗号コードのようで絵画鑑賞とは縁がない。日本の古典絵画屏風類などは絵にコードを埋め込むような姑息?なことはしな
い。自然界に存在する対照を心象的に捉え、作者の筆が趣くままにサッと書き上げる。油絵のように何度も何度も壁塗りもしない。白い和紙の一点に全神経を集中し青墨を載せていく。描き上げられた絵の空白部分は「かすみ」となって絵を構成している。まさに、これは哲学の絵である。
白黒陰陽の世界をものの見事に描いた日本の名品だが、残念なことに欧米人にとって視点が異なるようだ。また外に向け積極的なアピールもしていないようだ。このサイトに集まるユーザーの眼は世界が対象と考えるなら、ここから長谷川等伯の絵画を発信したいと思う。
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