2006-06-27

タイムマシンより俯瞰


Posted by Picasaphoto:小花シリーズ3 
茎の繊毛と花のサイズでそのスケール6ミリ程度が判ります


新聞のスクラップは、しばし時間を逆回転して、その事実が過去の出来事でありながら嘘のないリアリティとして、つい読みふけってしまう。その報道が「嘘か真か」を判断するのは歴史が証明するが、一年も満たない時間で新たな真実が露呈するとは甚だ現代的で、それほど時間の進み具合がスピードアップしている現代社会だと認識させられた。その事件とは…。

2005年10月7日読売新聞のトップ記事に ネット記事「見出し無断配信違法」知財高裁判決本社逆転勝訴 初の司法判断 ネット会社に賠償命令 など見出しを抽出してみた。これで大方の内容の検討は付くと思う。相手は神戸のIT会社「デジタルアライアンス」。当事者に関するニュースだからトップにしたのだろう(ではDA側の言い訳は何処にすればいいのだ?)。
世間は余り騒がなかったし私も関心はなかった。ところが、この高裁判決の逆転判決のウラには虚虚実実の駆け引きと、アメリカの思惑と、日本のIT産業の将来を左右する重要なシークレットが隠されていた。その時点では日本側の司法でも、それに関する情報を持っていなかったのでは、と推測できるほどアメリカ側のしたたかな計算があった。
知財勝訴、その理由。「記事の見出しには著作権はないがデジタルアライアンス社は不法行為で利益を得ている」とし、23万円余りの損害賠償支払い命令を下した。事の成行きは2002年12月に違法に著作権を侵害したとして読売新聞社が提訴したのがキッカケだ。その結果は2004年3月、東京地裁一審判決「見出しは記事ではない」として敗訴。その結果を諮ったようなタイミングでGoogleのニュース日本語版サービスが開始、だが日本の三大新聞は拒否した。さらに話は推移し三大新聞はGoogleに記事を提供するようになる。その経緯についてはGoogle社側が新聞社に対して著作権支払いを提示し受託され今に至る。時期が前後するが、では高裁のDA社に対する損害賠償支払命令23万円は何なのか。世界のメディア界では依然Googleに対して門戸を閉ざしている。
パソコンを作動させるOSはアプリケーションプログラムインターフェイス・API規約に準拠して作られる。そのOSが規約に則していることを提供する義務をメーカーは負わされている。しかしマイクロソフト社は総てのAPIを公開せず、その一部を隠蔽していたと、まことしやかな風説がある。それを仮定の上としてマイクロソフト社を考えれば、パソコンOSの覇権99%を掌握し30兆円の時価総額企業になり得たと換言してもいい。この話しを「似て非なるもの」として強いて喩えるならば、読売が講じたDA社への提訴、そして著作権を守るはずの方策は時代の趨勢Googleにひれ伏した、と揶揄されても反論の余地はあるまい。ビジネスの世界であるから金銭のやり取りで契約が成立する。その点で読売とGoogleは争い事もなく 金で解決したのだろう。では敗訴した地方の微弱な一企業DA社の23万円賠償支払いは本来誰が受け取るべき賠償金だったのか。これが30兆円のスケールなら誰もが色めきだつ。国内のライブドア損害賠償問題、村上ファンド事件を参考にするまでもない。
超高度から撮影した衛星写真からは、そんな人間世界の欲得はまるで観えない。その俯瞰図は過ぎ去った過去の話し、2005年10月のことだ。

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