2006-05-16


「米国で働きたい人にとってグリーンカード取得は素晴らしい幸運である。でも日本の大学を卒業して日本でしか仕事経験のない28歳が抽選でグリーンカードを取得して渡米すれば、ある意味、徒手空拳の就職活動が待っている。就職時にグリーンカードを持っていることは、ビザをスポンサーしてもらう場合よりは条件がうんといいが、それ以上でも以下でもなく、とても厳しいことが待っているはずだ」。

徒手空拳・一言でいえば「裸一貫」、財産も頼るべきコネも何も持たない若僧が現実社会に向かってゼロから創めること、を云っている言葉で、上記引用例では、28歳の男性がグリーンカードを携えアメリカで仕事をしたい、というようなケースを梅田氏が相談を受けたそうである(web進化論、終章脱エスタブリッシュメントへの旅立ち)
梅田氏はいま、日本の若者をシリコンバレーに移住させようと「シリコンバレー移住計画」をNPOで立ち上げ20年計画で完成させる、という構想を練っている。その「大いなる空想」を実現するために確かな一歩を進み始めた。いま梅田氏46歳、20年間で66歳である。何もしてくれない日本のエスタブリッシュメントに対する隔靴掻痒感を、この構想で一気に打破しようとする気構えだ。そうした中で徒手空拳に晒される若者を「私」がバックアップしようと梅田氏、乾坤一擲(けんこんいってき)の行動に出た。
私がこれを読んだとき、フッと思ったのは奈良時代の遣唐使を彷彿とさせた。
遣唐使は朝廷(元正天皇)肝いりの国家プロジェクトである。その時代の先端文化・技術をもつ「唐」から学ぶという国家計画である。そして、それから1300年経過した近代日本の文化は何か、と問えば、その時代に唐から導入した文化・技術が今でも生きている。
私の体験談から具体例を挙げれば「雅楽」がそれだ。私は今でも雅楽演奏者として現役だが、この歴史は唐時代の遺産文化である。当時の遣唐使の一人、なかでも右大臣吉備真備は「政・まつりごと」に欠かせなかった式典奉奏
の雅楽に関する文献を持ち帰っている。
その時代と現代社会の形態は、まるで異なるが先端技術を他国に学ぶ、というのは今でも同じである、という実態を梅田氏が見せてくれた。その内容とは、アメリカ、シリコンバレーの持てる先端知識を、奈良時代当時の「若僧」であった吉備真備と同じ若年年代層に吸収させるというプロジェクトである。
本来これらの仕事は国家サイドでしなければならない計画だが、エスタブリッシュメントに業をにやした梅田氏は、一人船出したのである。そのこと、こそが日本人たらしめる大きなfactorではないか、と雅楽演奏者は思うのである。

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